トップ > 健康・医療・福祉 > 障害者支援・地域福祉・生活支援 > 支え合い活動の今に迫るWEBコラムシリーズ > WEBコラム【番外編〈2〉】情報も人も共有。本音の場で実現
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更新日:2024年03月25日 15時30分
「もっと現実的な話をしましょうよ」「机上の空論ではだめ。誰がどう実行するのかという土台をつくらないと」。
会議は、想像以上に熱を帯びていました。2021年2月24日、コミュニティセンター上津校区会館で開かれた、地域の課題やニーズを把握し住民自ら対応するための話し合いの場「支え合い推進会議」の一コマです。
支え合い推進会議は現在、市内44校区で立ち上がり、支援が必要な世帯のごみ出しや買い物の手伝いなど、地域で新たに必要な仕組みや既存の取り組みの充実について話し合っています。上津校区は平成30年に設置。「校区内でいろんな団体が活動していますが、誰がどう関わり、どんな課題に取り組んでいるか、あまり共有できていませんでした」。同校区まちづくり振興会会長の大坪平さんは振り返ります。
同校区の課題の一つに子ども会の存続危機があります。原因は世話人不足です。大坪さんは、子どもたちのためだけでなく、将来の校区を支える人材の育成のためにも子ども会が続いてほしいと考えています。「今の活動を支えている高齢者は、若い時に子ども会などの世話役をしていた人が多い。地域と関わるきっかけの場なんです」。
インタビューに答える大坪さん。支え合い推進会議に関わる人をもっと増やしたいと話します
存続の手法として大坪さんが考えているのが “担い手の共有”。「人材不足はどの分野でも課題。ならば、役を担える人を共有できないかと思うんです。そして、活動に完璧を求めず、できることを取捨選択すれば、いろんな活動を残せると思います」と言います。このような分野を超えた話し合いに、支え合い推進会議は生かせます。
支え合い推進会議には、自治会や各種住民団体、福祉事業者、民生委員・児童委員など、様々な立場の人が参加。その活動例に、“地域の団体の役割を知る”“課題を共有する”といったものがあります。同校区社会福祉協議会会長の馬場弘喜さんは「団体の長が集まる会議は、それぞれの立場の建前も大事にしなきゃいけないけど、支え合い推進会議は“実際のところ”を共有できるから、解決に向けて垣根を超えた話し合いがしやすい。また、市社協のコーディネーターが会議運営をサポート。ワークショップなど本音で話しやすい場づくりをしてくれます」と特徴を話します。
支え合い推進会議で他の参加者と対話する馬場さん(右)。普段接することの少ない分野の人とも顔見知りになりやすく、新しい連携が生まれやすい場になっています
現在、上津校区は、次期校区福祉活動計画を策定中です。これまでは校区社協でまとめていましたが、支え合い推進会議でも協議してもらうことにしました。
策定作業を担う校区社協副会長の平塚文成さんは、過程を大切にします。「前計画を振り返った上で課題を考え、どこに主眼を置くかを決める。だからこそ、あらゆる立場の人が関わり、話し合うべきだと思うんです。住民が幅広く参加しているこの会議で話せば、地域の本当の困りごとが反映できるのではないでしょうか」。
新たに計画策定委員会をつくるより、支え合い推進会議などの機能を生かす方向で考えたと話す平塚さん
冒頭の24日の会議の場。20人の参加者で、次期計画に掲載する取り組み案を基にアイディアや改善点などを出し合う予定でした。
矢先、参加者の1人が発言しました。「多くの取り組みを書いているが、仕事をしている人には負担があまりに大きいのではないか。ただ作るだけの計画ならいいが、現実的にできることを話さないと」。すると、他の参加者からも「支えられる側だけで話して、実効性が保たれるのか。支える側の声を聴かないと」など、さまざまな意見が出てきました。
積極的に疑問点や意見を発表する参加者。この場の全員が当事者となった時間でした
ワークショップで市社協コーディネーターと意見交換する参加者
そこでワークショップで“内容で気になる点”を出し合うことにしました。「活動が続くためには、団体の育成が欠かせない」「優先順位をつけないと。全ての活動はできない」「独居高齢者で自治会に入っていない人こそどうにかしないと」などの意見が出され、終了時刻は当初の予定を大幅に過ぎました。
会議後、大坪さんは「これは良い兆し。計画案で現状を見える化・共有できたからこそ、みんなの意識が向いたのだと思う」と話し、平塚さんも「計画ができたら、動かす段階になる。困っていることや考えを出し合える“対話の場”の存在は大きい」と前向きです。
支え合い推進会議で生まれる“本音”の関係が、上津校区の将来を支えるのでしょう。
コミュニティセンター上津校区会館での取材後に撮影。校区の新たな担い手を待っています
(番外編〈2〉終わり)
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WEBコラム「みんなで生きる、みんなが活きる」