トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【45】社会復帰の気持ちを支える
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更新日:2025年01月30日 10時00分
長期入院患者の退院や社会復帰を支援している「ピアくるめ」所長の平田憲一さんに聞きました。
治療を終え、入院の必要性が低いのに退院できない人たちがいます。背景には、退院後の生活が不安で、入院していたいという本人の希望や、受け入れに不安を抱く家族の思いがあります。
私たちは、そういった人たちの退院に向けて本人や家族に寄り添い、社会に復帰できるよう支援しています。退院後の環境には誰でも不安になりますよね。数年、十数年もの長い間入院している人はなおさら。掃除や洗濯、買い物などの日常生活をやっていけるのか、職場復帰できるのか、隣近所とうまく付き合えるのかなど、不安の要素はさまざまです。精神疾患の場合は特に本人の心身状態が悪く、最も苦しんでいたときの印象が強いので、受け入れに不安を感じる家族が多いです。
退院後は自分だけでどうにかしようとしたり、家族だけでサポートしたりする必要はありません。グループホームへの入居や、デイケアを利用する選択肢も。私たちのような相談支援専門員などを頼るのも一つの手段です。入居予定のアパートやグループホームを一緒に見学したり、日常生活を支援するサービスを案内したりして、退院後の生活環境を整えています。穏やかに暮らす姿を見て、退院を不安に感じていた家族の考えが変わることもあります。周りを頼ることで社会復帰への選択肢が広がり、本人や家族の心の余裕につながるのではないでしょうか。
自分の意思が認められ、自分で生活スタイルを決めていくことは大事な権利です。社会復帰を目指す本人を支えるのは、家族だけではなく地域も。不安を抱えながらも日々を何とか過ごしている人がいることを知り、理解することが大切です。周りの理解があると、本人や家族の不安が軽くなり、社会復帰を後押しします。全ての人が自分らしい生活を実現できる社会を作っていきたいですね。
「日ごろから家族や地域とのつながりを大切にしてほしい」と話す平田さん