トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【40】介護者を虐待者にしない支援を
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更新日:2024年08月30日 10時00分
高齢化社会が進む中で、介護をする家族(介護者)から高齢者への虐待が問題になっています。地域包括支援センターで高齢者とその家族を支援している天野興慈さんに聞きました。
私は、祖母を介護することになったとき、どうしたらよいか戸惑い、地域包括支援センターに相談しました。それがきっかけで介護の世界に興味を持ち、この仕事を始めました。
高齢者への虐待は、身体的、心理的、性的、経済的と多岐にわたります。介護や世話をしない、放置するのも虐待です。高齢者の尊厳を傷つけるもので、重大な人権侵害です。
介護者が高齢者を虐待するケースがあります。原因は、介護疲れによる心身のストレスのほか、介護技術や認知症への理解不足などさまざまです。日常生活ができなくなったり、認知症でコミュニケーションがとれなくなったりした配偶者や親の変化を受け入れられず、暴言や暴力に至るケースもあります。
高齢の親の年金や預貯金を勝手に使い込み、介護・医療などが満足に受けられず生活に影響が出る経済的虐待も少なくありません。
高齢者への虐待を防ぐには、介護者への支援が不可欠です。介護者との丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築き、介護者が抱える問題を受け止め、支援することが虐待防止につながると思っています。
介護者の中には、「自分で全てお世話しなければ」と思い詰めてしまう人がいます。そんなときは、介護者に寄り添うことやねぎらうことを心掛けています。介護負担が大きいようであれば、デイサービスやショートステイなどの介護サービスの利用を勧め、介護者が息抜きできるようにします。
私たちは、介護者以外の近隣の人からの相談も受けています。介護者の中には、近隣との付き合いがなく、孤立している人や、周りを頼れない人もいます。介護者を虐待者にしないために、周りからの声掛けが介護者の支えになると思って、気軽に相談してほしいですね。
介護に関する悩みや相談を受ける天野さん