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シリーズ【35】誰もが自分を表現できる社会に

更新日:202403270859


誰もが自分を表現できる社会へ

令和3年、高校在学中に学生団体を立ち上げ、LGBTQ(性的少数者)の理解促進に取り組む安武優希さんに話を聞きました。

安武優希さんの写真

いないんじゃなくて、言えないだけ

 高校生のとき、九州各地や海外に住む大学生とオンラインで交流する「未来創造キャンプ」に参加しました。LGBTQについて話し合う場で積極的に発言している他の参加者と比べて、いかに自分に知識がないかを痛感しました。知らないがゆえに、無意識に誰かを傷つける言動をしていたかもしれない、と怖くなったのを覚えています。それまで「当事者に出会ったことがない」、「私の周りにはいない」と思い込んでいました。でもいないんじゃなくて、周りに言えないだけなんじゃないかと気付いたんです。

特別ではなく、これからも仲間

 「未来創造キャンプ」参加者の呼び掛けで、LGBTQへの理解促進を図る学生団体「Over the Rainbow」を作りました。冊子で啓発しようという案が浮かびましたが、それでは興味がある人にしか届かない。映画なら見た人がそれぞれ自由な受け取り方ができると考え、約40分の作品を作りました。今も講演会などで上映され、LGBTQへの理解促進につながっていると感じています。
 活動を始めた頃、当事者だと打ち明けてくれたメンバーがいました。その人が私と何か違うわけでもないし、付き合い方が変わるわけでもないのに、うまく返せなかったんです。私が持っていたのはうわべだけの知識だったと気付きました。
それから活動しながら学んでいくうちに、LGBTQは特別じゃない。「こうなりたい」という意思を持っていることがかっこいいと思えるようになりました。

いろいろな人がいるという視点を

 私は「いつから異性を愛するようになったの?」と聞かれたことはありません。「いつから同性愛者になったの?」。これは、同性愛者の人によく向けられる質問です。悪意がなくても、知識や出会いがないために相手を傷つけているかもしれません。差別や偏見は無知から生まれます。だからこそ、まずは知ってほしい。いろいろな性のあり方があるという視点を持つことで、皆が生きやすい社会になるのではないでしょうか。

話をしている安武さんの写真
「まずはいろいろな性のあり方があると受け入れることが大切」と語る安武さん

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