トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【33】その人の人生を尊重して支援する
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更新日:2024年01月30日 08時53分
新型コロナや物価高騰の影響で、経済的に困窮したり、生活が不安定になったりしている人が増えています。生活に困っている人を支援している寺﨑繁さんに聞きました。
平成27(2015)年から「越冬の会」に参加しています。65歳を過ぎて、ある日「あと10年は何か頑張ろう」と思い立ちました。会の存在をインターネットで見つけ、参加し始めました。会は、炊き出しやパトロールのほか、一時的な住まいの確保や生活保護申請の手助けなどを行っています。週に3回、市役所の地下1階で相談も受けています。公園などで生活する、いわゆるホームレスの人は少なくなりました。でも、日々の生活に困っている人は増えていると感じます。新型コロナの影響で失業した人や、家族関係の悪化で家を出てネットカフェなどで寝泊まりするなどしている人が多いようです。
支援するときは、過去や貧困に至った経緯を細かく聞き出すことは極力しません。言いたくない、言えないこともあります。その人の人生を尊重して支援することを心掛けています。もうひとつ心掛けているのは、相手によって態度を変えないこと。お金や地位があるから偉い、貧困だから何を言ってもいい、ではないんです。「支援してあげている」ではなく「支え合っている」という気持ちで接しています。実は、私も働いていた頃の苦い経験があります。お客さんからの電話を業者からの営業電話だと思い、ぞんざいな態度をとり、相手を不快にしてしまいました。私の中にある差別意識に気づいた出来事で、今も戒めとしています。
生活に困っている人を「自業自得だ」とか「頑張りが足りない」と思う人もまだまだいます。学生が、河川敷に住んでいるホームレスに橋の上から石を落とした事件もあったと聞きます。自分のベストを尽くして自立しようとしている人を軽く見たり、無関心になったりしないでほしい。自立に向けた再出発にほんの少しでいいから力を貸してほしいですね。
「少しでも力になれたらと思って支援しています」と語る寺﨑さん