トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【30】犯罪被害者に寄り添う支援を
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更新日:2023年10月30日 08時29分
11月25日から12月1日は「犯罪被害者週間」です。弁護士として犯罪被害者支援に尽力している由良清香さんに、被害者の人権について聞きました。
司法修習生時代、受け入れ先の事務所の弁護士に、被害者の支援に関する会議や、被害者との面談などに立ち会わせてもらっていました。これを機に私自身も関心を持つように。弁護士2年目のとき、未成年の女性が性被害に遭った事案を受け持ちました。当時、その子はショックのあまり心を閉ざしていました。「話して」と言うわけにもいかず、まずは手紙のやりとりから始めて関係性を築くことに。彼女が徐々に心を開いてくれ、犯人には重い実刑が下されました。
被害者は孤立しがちです。その結果、自分を責めたり、なお一層ストレスをためたりして心の調子を壊してしまいます。気持ちを聴いてほしい人、そっとしておいてほしい人、人によって求めていることはさまざまです。被害者への支援は、警察をはじめ、検察庁や弁護士会、医療機関、行政などが連携しながら行います。何を求めているのかを見極め、一人じゃないと思ってもらえるような支援が大切です。
「こんなことで弁護士に相談していいのか」と考え、電話を掛けることをためらう人もたくさんいます。本人は小さいことと思っていても、私たち弁護士からすると実は重大な問題であることも珍しくありません。被害者が求める支援と、本当に必要な支援が合っていないこともよくあります。だからこそ、困り事があるときはためらわず、まずは相談してください。
「自分は犯罪とは無縁だ」。誰しもがそう思います。だからいざ自分が被害者になったとき、どうしたらいいか分からない。犯罪被害者の気持ちがどれほどのものか想像できず、あたかも被害者が悪いかのような、心ない言葉を掛けてしまうことがあるのだと思います。ただでさえダメージを受けている被害者にとって、そのたった一つの言葉は凶器にもなるんです。相手の気持ちに寄り添い、支え合う社会を作っていきたいですね。
「相談に応じて、必要な支援を提案します」と語る由良さん