トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【24】正しい知識で差別をなくす
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更新日:2023年04月26日 11時07分
新型コロナ感染症が発生し、3年以上経過しました。発生して間もなく、社会は大きく混乱し、新たな差別も生み出しました。看護師として、これまで新型コロナ対応に従事してきた馬場千草さんに話を聞きました。
2020年1月、日本でも新型コロナの感染が確認され、4月には緊急事態宣言が発出されました。警戒していたとはいえ、当時はまだ未知のウイルス。対策や対応は全て手探りでした。人々は感染を恐れるあまり、他人と同じエレベーターに乗るのを嫌がったり、他県ナンバーの車に過剰に反応したり。医療従事者やその家族と関わることを避ける人もいましたね。それは新たな差別も生み出しました。
私は感染対策の専門的な知識を基に、病院や施設などで感染予防を行う感染管理認定看護師です。当時、聖マリア病院で患者と職員を院内感染から守る役割を務めていました。新型コロナが流行し始めると間もなく、社会では大きな混乱が見受けられました。これはSNSやテレビ番組、うわさ話などの情報を信じて過剰に反応してしまったから。感染症の正しい知識がないためです。なかには、症状が出ているのに差別を恐れて検査を受けない人もいました。結果として、感染を拡大させてしまうという悪循環に。科学的根拠に基づく正しい知識を身に付け、冷静な行動が必要だと思います。そして流水による手洗いや手指のアルコール消毒、洗浄・消毒などの環境清掃、咳エチケットなどの基本的な対策を日頃から継続することが大切です。
人はさまざまな背景を持つので、考えや意見の食い違いがあるのは当然です。特に未知のウイルスへの反応は、人それぞれだと思います。大切なのは正しい知識のもとに、一人一人が相手を思いやり、行動すること。そうすれば、新たな感染症が生まれても、冷静に正しい判断ができるようになるはずです。それが結果として他人だけでなく、自分自身を守ることにつながります。
「普段から基本的な対策を継続することが大切なんです」と語る馬場さん