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更新日:2022年05月26日 16時22分
大切な人を亡くした悲しみや喪失体験を抱える人に寄り添い、日常生活を取り戻す支援活動をしている古賀千鶴さんに話を聞きました。
愛する家族や友人と死別し、悲しみや恋しさ、苦しみなど、さまざまな感情を抱くことを「グリーフ」と言います。眠れない、食事ができない、外出ができない、なぜ自分だけが生きているのか、いっそ死にたいと思ってしまうこともあります。相談を受けた人の中には、「自分以外の家族は、立ち直っているのに自分ばかり悲しんでいては、心配をかけてしまう」と、家族の中で孤独に陥るケースや、「最期にみとれなかった」、「もっとやってあげられる事があったのでは」と、後悔や自責の念に駆られて苦しんでいる人もいました。グリーフは、人によって違いがあり、抱く感情の長さや深さ、表現は異なります。季節や場所によって亡くなった人を思い出し、悲しみが湧き出てくることもあります。
時間がたてば、立ち直れると思われがちですが、決してそうではありません。大切な人が亡くなったことを受け止められずに、時間が止まっている状態。気持ちの中心に「悲しみ」があり、新たな一歩が踏み出せないのです。悲しみを消すのではなく、ちょっと横に置いてみてください。亡くなった人と一緒に日常生活を送っているんだと。時には泣いてもいいんです。我慢しないで。ゆっくりでいいから気持ちを話してください。誰にも言えなかったつらさを話すだけで、心の痛みを「放す」ことができます。
グリーフは、死別だけではなく、離職や失恋、病気、災害などの喪失体験でも起こります。苦しんでいる人がいたら「助けてあげよう、何かしてあげよう」と思い、特別なことをするのではなく、相手のペースで、話を聴いてあげてください。うなずくだけでもいいんです。アドバイスや励ましは、かえって相手を傷つけることも。安心して話せる居場所や、話を聴いてくれる人がいるだけで、その人は自分の感情を受け入れながら、新たな一歩を踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。
「ぬいぐるみを持つと、自然と話しやすくなりますよ」と言う古賀さん