トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【8】家はつながりを支える場所
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更新日:2022年01月13日 15時29分
さまざまな理由で住むところがなくて困っている人が増えています。そのような人々の支援を行っている氏家剛さんに話を聞きました。
くるめ住まいサポートで住まい探しに困っている人に、物件の案内や入居手続きのサポートを行っています。対象となるのは、主に自立支援センターへ相談や生活保護の申請をしている人です。入居後も転居先での生活に慣れるまで時間がかかる人もいるので、訪問や電話で生活状況を確認するなどの見守りも行っています。
相談に来る人は、20代から高齢者まで幅広く、事情も友人宅や会社の寮から退去せざるを得ないなどさまざま。経済的に困窮している人もいますが、保証人や緊急連絡先がないなどの理由で家を見つけることが難しい人もいます。令和2年10月から事業が始まり、1年あまりで約200件の相談がありました。家がなければ、さまざまな支援を受けることもできません。家は、生活の基盤になる場所ですが、相談者にとって生活再建の場所でもあります。
家を見つけるだけでは、本当の問題が解決できないことがあります。相談者には、頼り方が分からない、頼るのは恥ずかしいと感じている人がいます。多くが、家族や友人など周囲との付き合いがうまくいっていない孤立している人。入居手続きだけでなく、見守り支援を行うのは、孤立を防ぐ上で大事だからです。生活の中で困ったことが起きても、誰にも言えずトラブルに発展したり、問題を大きくしたりするケースもあります。訪問や電話などの見守りをすることで、人とつながることができます。必要と思ったら、関係機関につなぐ対応もできます。つながることで解決できる問題はたくさんあります。
暮らしていくための家を失う可能性は、本人の意思に関係なく誰にでもあります。実は私も東日本大震災で突然仕事ができなくなり、支援を受けました。支援の一つが生活保護です。生活再建のためにも制度は利用してください。やっと住む場所を見つけた人を1人にさせないためには、話を聞いてあげるだけでもいい。人ごととは思わずに自分ごととして考える人が増えると、つながりを絶やさない社会になっていくと思います。
相談者の希望や生活状況を聞いて、物件案内をする氏家さん