トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【5】人生の最期を自分の意思で迎える
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更新日:2022年01月13日 15時33分
認知症などで判断能力が低下すると、契約や財産の管理が困難になります。そのような人を支援する成年後見制度について、山下由貴さんに聞きました。
成年後見制度は、認知症、知的・精神障害などで、判断能力が十分でない人の権利を守る制度です。多くの人は自分には関係ない、財産を持っている人が利用する制度と思いがちですが、そうではありません。生活や権利を守り、安心して暮らせるように支援する制度です。本人の判断能力が衰える前に、老い支度として備える「任意後見制度」もあり、自分で決めた人を後見人に定めることができます。判断能力が低下して、必要のない高額な物を買わされたり、年金受給日に知人がお金を借りに来て、生活費が無くなってしまったりすることが起きています。後見人は、本人に代わって不動産・預貯金の管理、介護サービスの契約などをします。
親族がいない、親族が遠方にいて頼れないなど状況は様々です。余命の告知、葬儀や生活用品の処分、ペットの引き取り先などを考えておくことは、遺された人の負担を軽減することにもなります。「いつかその時がきたら」ではなく、気力や体力があるうちに自分の意思で、人生の最期を決めておくことが大事。判断能力が低下した時に、他人に決められた医療や介護を受け
るのではなく、自分が望んだ支援を受けられたほうが、周りの人にとっても安心ですよね。
自分の意思を表すのには、遺言書が有効です。メッセージを残すこともできます。自分の思いを胸の内にとどめておくのではなく、誰かに伝えておくことが大切です。自分の希望を周りの人が理解しているとは限りません。法的な拘束力はありませんが「終活ノート」を活用するのも良い方法ですね。身の回りのことや思い出を整理することで、残りの時間をどう過ごしたいのか見つけるきっかけにもなります。たとえ判断能力が低下しても、自分が望む老後、最期を迎えられるような支援を受けられ、自分らしさを全うできるような社会であってほしいですね。
「自分の老いと向き合うのに、年齢は関係ありません」と話す山下さん