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更新日:2022年04月19日 15時57分
生活困窮が原因で十分に学べない子どもたちがいます。困窮世帯の子どもに学習支援を行っている佐藤有里子さんに話を聞きました。
私は、人材派遣会社を経営しています。ある日、登録している母親から子どもを塾に行かせることができないという悩みを聞きました。勉強ができなくて、家計も厳しい状況を知りました。高校進学は子どもの将来の選択肢を増やすことにもなると始めたのが無料塾です。始めは生徒2人。毎年、人数が増えていくので、団体を設立し、活動を始めました。
設立から10年、子どもが置かれている厳しい状況は変わりません。経済的困窮は心にも影響を及ぼします。無料塾にも精神的に不安定だったり、自己肯定感が低かったりする子がいます。塾に通ううち、かたくなだった子どもが、笑顔を見せるようになります。仲間や助けてくれる大人がいることを知り、本人にとって安心できる居場所になっているんだと思います。心が安定すると勉強に取り組む姿勢も変わってきます。
生活習慣を身に付けることや社会と触れる経験も学びです。勉強だけでなく、さまざまな経験ができることも大切だと考えています。社会的なマナーを学んだり、経営者の話を聞いたりする機会を設けています。さまざまな人に出会い、多くの経験をすることで、将来の選択肢は増えます。無料塾でたくさん経験してほしいという思いで取り組みを続けています。
どのような境遇の子どもでも、夢を持ってほしいと思います。夢を持つには生きる力が大事。学ぶことで生きる力を身に付けてほしくて無料塾を続けています。続けてこられたのは、私たち団体と市や協力企業などが一緒に取り組んできたからだと考えています。企業には職業体験の受け入れや、個人からは塾で使用する教材などの提供など、子どもたちを支えてもらっています。より多くの人が関わることで、支援できることも増えます。今後も地域で子どもの生きる力を支えていきたいと思います。
久留米市と鳥栖市で無料塾を開催。小学生から高校生まで100人近くが通っています