トップ > 計画・政策 > 市長のへや > 市議会への提案理由説明 > 令和7年第1回市議会定例会 市長提案理由説明
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更新日:2025年02月18日 15時43分
皆様、おはようございます。
令和7年第1回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集を賜り、誠にありがとうございます。
本日、ここに提案いたしております各議案の提案理由をご説明申し上げますが、はじめに、これまで3年間の重点課題の取組状況について述べさせていただきます。
私は、市長就任時に、市政運営における基本目標として「安心・安全で活力にあふれた、誰もが活き活き生活・活躍できる共生のまち」の実現を掲げ、その達成のために、「安心・安全のまち」、「活力のあるまち」、「活き活き生活できる、活躍できる共生のまち」の3つのまちづくりの視点を設定し、取組を進めてまいりました。
まず、「安心・安全のまち」では、度重なる浸水被害や新型コロナウイルス感染症から市民の生命・健康・財産等を守ることを最優先に、安心して安全に暮らせるまちづくりを進めました。
中でも、市政の最重要課題と位置づけている豪雨災害の克服に向けては、この3年間で市独自に約140億円の事業費を投入し、久留米大学や御幣島公園などの貯留施設の整備や河川の護岸嵩上げ、排水機場の増設などを進めました。国や県に対しても要望活動を重ね、その熱意を受けて様々な対策に取り組んでいただいております。また、地域の皆様と協働しながら、田んぼダムの拡大や「みんなで流域治水!」の取組を進めてきました。その結果、令和3年度との比較で、貯留機能は3.7倍、排水機能は1.2倍となりました。あわせて、ペット避難所の増設や災害備蓄品の充実など避難環境の整備にも取り組んでまいりました。
しかしながら、令和5年7月の大雨により広範囲の浸水や土石流の発生など、これまでにない甚大な被害が発生しました。防災・減災に全力で取り組んでいる中での大規模災害の発生に、やりきれない思いでしたが、多方面からのご支援やご協力をいただきながら、全庁一丸となって全力で復旧に取り組みました。
一方で、浸水対策が進んだ地域ではその効果が着実に現れてきており、現在取り組んでいる対策を引き続きしっかりと進めていきたいと考えております。
新型コロナウイルス感染症対策については、感染者数が拡大と減少を繰り返す中、医療関係者の皆様のご協力のもと、症状等に応じ療養体制を適宜整えながら対応するとともに、国と連携しワクチン接種を迅速かつ着実に進めました。医療や福祉に携わる皆様のご尽力のおかげで、数度にわたる感染拡大の波を乗り越えられたと考えております。心から感謝申し上げます。
また、コロナ禍での活動制限による影響や、世界情勢や為替相場などを要因とした物価高騰への対策にも取り組みました。国の交付金を活用しながら、子育て世帯や生活困窮世帯への生活支援給付、小中学校や保育所等の給食費の支援、農業や商業など事業者への支援など、状況に応じた対応を図りました。
また、コロナ禍にあっても、感染状況に応じてイベントや市民活動の再開を進め、市民生活の潤いや楽しみをつくってきました。社会経済活動を早期に回復の軌道に乗せるため、強い覚悟を持って進めたところです。
次に、「活力のあるまち」では、感染症の影響を受けた地域経済の振興を図るとともに、生活の基礎となる雇用の場の創出を図り、活力あふれるまちづくりを進めました。
地域企業の生産性向上や経営改善に向けた支援を行うとともに、市内企業への就職支援など人材確保の取組も進めました。また、企業誘致においては、資生堂福岡久留米工場が稼働を開始したほか、オフィスやバイオ関連企業など全体で20社の進出が決定し、市内の産業団地は完売いたしました。今後の産業集積に向けて、新たな産業団地の整備にも着手したところです。さらに、若い世代の創業支援に取り組み、創業の機運が少しずつ高まってきています。
農業については、担い手の育成・確保や生産性向上に向けたスマート農業の促進・支援、所得向上に向けた6次産業化や農商工連携といった農業経営の多角化支援を充実しました。
都市基盤の整備としては、交通結節機能の強化やネットワーク機能の充実などを戦略的に行ってきました。JR久留米駅や西鉄大善寺駅といった主要駅周辺の整備に取り組むとともに、中環状道路や内環状道路といった幹線道路の整備を進めました。
また、災害に強く利便性の高い道路ネットワークの構築に向けて、スマートインターチェンジの設置について国などに働きかけを重ねた結果、新規事業化箇所に決定しました。安心・安全のまち、活力のあるまちの実現に大いに寄与するものと考えており、より利便性の高いものとなるよう、NEXCO西日本や福岡県と連携して取組を進めてまいります。
そして、「活き活き生活できる、活躍できる共生のまち」では、子ども・子育て支援をはじめ、教育・介護・福祉などが充実し、すべての人の人権が守られた、誰もが活き活きと生活でき、活躍できる共生のまちづくりを進めました。
未来を担う子どもたちが、健やかに育つ環境を整備するため、子ども自身への子どもの権利の啓発に取り組むとともに、子ども医療費の助成拡大や子育て家庭の伴走型相談支援、家事育児の訪問支援など子育ての不安や負担の軽減を図りました。また、ICTを活用した教育の推進や中学校の全教室へのエアコン設置など、教育環境の整備も進めてきました。さらに、若者の相談窓口を設置するとともに、ヤングケアラーや不登校児童生徒など困りごとを抱える子どもや家庭への支援についても充実を図りました。
加えて、中高生を対象とした音楽活動の支援や、ジュニアアスリートの支援拡充など、子どもたちの夢や希望の実現に向けた取組を進めました。
その他、障害を理由とする差別をなくす条例を制定し、障害の有無で分け隔てられることない社会の実現のための取組を進めるとともに、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングなど、市民活動活性化のための取組も進めました。
一方で、少子化・人口減少の加速化、施設の老朽化、厳しさを増す財政状況など市を取り巻く様々な環境の変化にしっかりと向き合い、対応するための事業の見直しも行ってきました。子どもたちのよりよい教育環境を確保するための小学校の統合、公立保育所の再編、共同ホールの廃止、下水道区域の見直しなどについて、現状や必要性を丁寧に説明し、市民の皆様、市議会の皆様のご理解、ご協力をいただきながら進めてきたところです。
この3年間を総括しますと、こうした取組により、雇用の場や社会基盤施設、安心・安全な生活、充実した子育て・教育環境、潤いと憩いのある生活など、住みやすく活き活きと生活できる基盤づくりを進めることができたと考えています。また、国や県をはじめ、地域コミュニティ組織、市民活動団体、事業所など多様な機関や主体との協働を進めることができ、その協働をベースとして、様々な取組を進めることができたものと考えております。
このように、目指すまちづくりに向けて確かな手ごたえを感じてきているものの、全国的に人口減少が加速する中で、久留米市も、出生数の減少や若い世代の大都市圏への流出などにより、減少傾向が続いております。そのような中、2月1日現在の人口は、残念ながら平成17年の合併後初めて30万人を下回りました。少子化・人口減少は今後さらに進むことが予想されます。現在においても、あらゆる分野で人材不足が顕在化しつつありますし、20年後には、0歳から14歳の年少人口が約11,000人減少するとの推計もあり、将来に向けては、都市のあり方や税収、地域経済などにも影響を及ぼすことが懸念されます。本格的な人口減少社会を見据えながら、安心して住み続けられる持続可能なまちづくりを進める必要があります。
そのまちづくりの主役であり、地域社会を支えていくのは、やはり「人」であり、あらゆる施策において、一人ひとりを大切に、「人」づくりの視点をもって取り組んでいくことが重要だと考えております。また、地域のつながりの弱まりや高齢者などの単身世帯の増加などにより、孤独・孤立の課題が深刻化しています。地域の多様な人たちが互いを認め合いながら共生し、つながり支え合う地域づくりを進める必要があります。こうした地域をつくるには、様々な主体がこれまで以上につながり、協働できる仕組みや環境づくりを広げ深めていく必要があります。
このような課題に加えて、都市の求心力の低下、気候変動等による災害リスクの高まり、物価高騰やデジタル技術の急速な進展への対応など、向き合うべき課題は複雑さ、難しさを増しています。今後は、行政として、大切なものは守りながら、時代に合わないものは思い切って変えていく、そうした覚悟をもって臨むことはもとより、様々な主体とビジョンを一つにして、より一層連携し、全市をあげてまちづくりを進めることが重要になると考えております。
こうした、これまでの取組状況や課題を踏まえたうえで、令和7年度の市政運営について申し上げます。
令和7年度は、任期4年間の市政運営方針の最終年度となります。その総仕上げとして、市政運営の基本目標の実現に向け、まちづくりの鍵を握る「人」を育て、支えることを大切にしながら、「街を伸ばし、暮らしを守る」取組を、成果につなげ実らせる1年としたいと考えております。
また、令和7年度は、令和8年度からの次期総合計画につながる重要な1年となります。10年後の久留米市を見据えた新たなまちづくりへのスタートをきる転換点と位置づけ、それを全市的な共通理解として、次のステージへの移行に向け取り組んでいきたいと考えております。
私が、まちづくりを進めるに当たりこだわっていきたい3つの方針、「久留米で暮らす、関わる人が、より多くの幸せを感じられること」、「このようなまちを持続可能にして次代に引き継ぐこと」、「まちをつくり、活力を生み出す人づくりを進めること」、こうしたまちづくりの実現に向け、新たな1歩を踏み出してまいります。
そのためには、相応の財政支出や人材が必要となります。30年ぶりの賃上げ、物価高騰などによって、歳入・歳出環境が大きく変わってきており、財政運営が非常に厳しくなっております。しかしながら、久留米市が将来に向けて持続的に発展するには、時機を逸さない取組が不可欠です。行財政改革にも取り組みつつ、限られた財源と人材を新たな分野にシフトしながら未来に向けて果敢に挑戦し、まちを成長させ発展につなげていきます。
次に、令和7年度の主な重点事業につきまして、市政運営方針に掲げる3つのまちづくりの視点に沿ってご説明申し上げます。
1つ目の視点は、「安心・安全のまち」です。
現在、国や県、市民の皆様と連携して進めている流域治水については、貯留施設や雨水幹線の整備、河川改修、田んぼダムの拡大、「みんなで流域治水!」などに引き続き取り組んでまいります。また、誰もが安心して避難できる環境を整備するため、身近な場所で地域が独自に開設運営する避難所への支援や、医療的ケアを必要とする人などが優先的に避難できる福祉避難所の環境整備に取り組みます。
令和5年7月の大雨で被災したそよ風ホールについては、復旧に向けて設計業務に着手するとともに、危険木伐採や森林の整備などを進め、災害に強い森林づくりにあわせて、市民が森林に触れあう憩いの場を整備します。
インフラの老朽化に対応するため、維持管理予算を4割増加し、道路や河川などの必要な補修を行うとともに、公園の遊具、学校施設や遊具の修繕・安全対策を強化します。あわせて、小学校等のAEDを体育館や屋外に移設し、社会体育も含めた安全確保に努めます。
新たな手口の犯罪対策として、大学等と連携し、特殊詐欺の被害防止や犯罪加担防止の啓発に取り組みます。また、空き家の適切な管理や流通促進に向けて、空き家リフォーム補助の拡充や所有者不明空き家対策を強化します。
安全で安定したごみ処理体制の維持に向けて、上津クリーンセンターの建替工事に本格的に着手します。また、公共施設のZEB化や事業者への脱炭素経営の促進により、脱炭素・循環型社会の構築を図ります。
2つ目の視点は、「活力のあるまち」です。
新規事業化箇所に決定した久留米南スマートインターチェンジ(仮称)の早期整備に向けた事業の推進や、JR久留米駅や西鉄久留米駅周辺といった中心市街地の再整備、競輪場の再整備、大善寺駅前広場の整備、宮の陣駅前の交通対策検討など、まちの成長に向けた地域の核づくりを進めます。
また、まちの魅力を向上させ、国内外の観光需要を取り込むために、宿泊施設の改修支援や、民間事業者が実施する新たな賑わいの創出支援、大規模スポーツ大会の誘致、そして、令和8年に開園70周年を迎える、石橋文化センターでのプレ事業開催や庭園の整備などを行います。
産業振興においては、地域産業の成長に向けて、地域企業の課題に応じた専門家による伴走支援を行うとともに、新たな産業団地の整備やバイオ産業の振興を図ります。また、若年層の創業人材育成を拡充し、将来の地域経済を支える人づくりを進めます。
農業分野においては、引き続き担い手の育成・確保に取り組むとともに、遊休農地の利活用や再生に向けた支援を行います。スマート農業機械の導入支援や6次産業化商品の情報発信を強化し、農業の生産性や収益性の向上、農業経営の多角化を支援します。
3つ目の視点は、「活き活き生活できる、活躍できる共生のまち」です。
こどもまんなか社会の実現に向けて、国基準の2倍の時間利用できるこども誰でも通園制度の先行実施や、文化芸術・スポーツなどの子どもの体験機会の拡充、こども・若者の居場所づくりに取り組みます。
また、外国にルーツを持つなど日本語のサポートが必要な子どもに対して、保育所等での翻訳機導入支援、学校の長期休業中における日本語初期集中講座の実施やコーディネーターの配置、日本語学習教材アプリの活用等の支援を拡充します。
さらに、長引く物価高騰を受けて、小中学校や保育所等の給食費の支援を拡充するとともに、生活に困難を抱える世帯の児童生徒に寄り添った学習や生活の支援を高校生まで拡大するなど、すべてのこども・若者が安心して健やかに成長できる環境づくりを進めます。
教育環境の充実に向けて、引き続き小学校統合の取組を推進するとともに、ICTを活用した市独自の学力テストの導入、児童生徒1人1台のコンピュータ端末の計画的な更新、民間プールを活用した水泳授業の実施を進めます。増加する不登校への対応として、小学校での校内教育支援教室の充実や、フリースクールの利用開始時の補助、自宅等で学べる学習教材アプリの導入など、児童生徒一人ひとりの状況に応じた多様な学びやきめ細かな支援に取り組みます。
文化芸術・スポーツの分野では、引き続き、若手ミュージシャンの育成やジュニアアスリートの支援、久留米シティプラザなど文化施設での事業実施、誰もが参加できる市民スポーツの推進などに取り組みます。
困難な問題を抱える女性への支援として、民間団体によるDV被害者支援への補助を拡充するほか、女性の人材育成や就業支援に取り組みます。また、気軽にできる認知機能検査とトレーニングプログラムを導入し、認知症の早期発見、発症・進行予防に取り組むとともに、認知症カフェなどの通いの場の拡充を行い、総合的な認知症対応を進めます。
加えて、市民活動団体の活動継続に向けた多様な資金確保支援や、支え合う地域づくりに市民の参画を促進するためのプログラムの作成など、市民活動の活性化を進めます。
さらに、行政DXの取組として、手続の電子化や地図データの公開などに加え、土木・建築関係の窓口のシステム統合等により、行かなくていい市役所づくりと、情報の取得や相談がしやすい環境を整えます。また、職員間の新たなコミュニケーションツールの導入やオフィス環境の見直しなど、行政事務の更なる効率化を図ってまいります。
以上、令和7年度における市政運営について申し上げましたが、その具体化には、市民・議会・行政が一体となった取組が不可欠です。正副議長をはじめ市議会議員の皆様、そして、市民の皆様におかれましては、どうぞ格段のご理解とご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
続きまして、2点ご報告させていただきます。
1つ目は、久留米市のPRについてです。
今月8日から11日にかけて、市議会からも参加いただき、香港へのプロモーション活動を行いました。香港は、日本への関心が非常に高く、訪日のリピーター率も9割に達しており、福岡県への来訪者も多い地域です。現地では、久留米市のいちごや柿、日本酒などをPRするために、旅行関係者やメディア向けのイベントの開催、香港最大手旅行代理店など関係団体への訪問を行いました。また、輸入食品取扱法人なども訪問し、久留米産の野菜や果物類を紹介し、販路拡大の可能性について意見交換を行ってきたところです
今後も、様々な手法を活用して、増加しているインバウンド需要の取り込みを図っていきたいと考えております。
また、今月12日から16日にかけて、日本商工会議所青年部の第44回全国大会が開催され、全国から約8,000人の方々が久留米市にお越しになりました。記念式典や懇親会、記念講演などに加え、物産展やダンスイベントなど趣向をこらした催しが行われ、期間中に開催された城島酒蔵開きや文化街にもご案内いただき、久留米市の魅力を知っていただく貴重な機会となりました。
そのほか、主演に久留米ふるさと名誉大使の田中麗奈さん、音楽をくるめふるさと大使の野田かつひこさんが担当される、江戸時代を舞台とした映画「恋ほおずき」が、久留米市を含む福岡県南エリアで撮影されます。また、先月7日に開催されました、日本三大火祭りのひとつである「鬼夜」の特集番組が、民間企業による社会貢献活動の一環として製作され、今月23日に放映されます。
このように、MICEの開催地や映像の題材として久留米市を選んでいただくことは、多くの人に久留米市の魅力を知ってもらうチャンスです。今後もこうした機会が増えるよう、様々な方面に向けて効果的なPRを行っていきたいと考えております。
2つ目は、動物愛護センターの整備についてです。
犬猫の「殺処分ゼロ」をさらに推進するため、現在、百年公園内に新たな施設を整備しており、5月にオープンの予定です。施設の名称を動物愛護センターとし、収容スペースの拡大により長期間の飼養を可能にして譲渡を促進するとともに、動物愛護や適正飼養の啓発などを強化します。
また、福岡県では、人と動物の健康及び環境の健全性を一体的なものとして守るワンヘルスが推進されております。久留米市におきましても、動物愛護センターの整備を契機として、県と連携・協力し、ワンヘルスの啓発や理解促進などに努めてまいります。こうした取組により、人と動物が共生する社会の実現を目指していきたいと考えております。
ここで、本日提出いたしております議案の審議をお願いするにあたりまして、各議案の概要をご説明いたします。
第6号議案から第18号議案は、令和7年度一般会計、特別会計及び公営企業会計予算案でございます。
一般会計の予算規模は、対前年度比8.8%増の1,593億円となっております。
約30年の長きにわたって続いたデフレの状態が一変し、全国的に急激に物価や賃金が上昇している状況は、久留米市の歳入・歳出環境の両面に大きな影響を及ぼしております。税収が過去最高額を見込まれる一方で、基礎的な行政サービスにかかる経費も大きく増加しています。また、令和7年度は情報システムの標準化・クラウド化対応や上津クリーンセンターの建て替えなど、今後の市民生活を支える大規模な事業が重なったこともあり、過去最大規模の予算となっております。
地域における経済の好循環を実現するためには、物価高などに適切に対応しながら、この大きな経済環境の変化の波を乗り超えていくことが重要です。また、久留米市が将来的にわたり発展していくためには、直面する重要課題に、時機を逸せず、しっかりと取り組む必要があります。
こうした認識のもと、令和7年度予算においては、重要課題や高まる財政需要に対して、基金の活用などによって積極的に対応し、地域のこれからの発展をしっかりと支えるとともに、成長の好循環につなげていくための予算を編成したところです。
まず、歳出予算の内容についてご説明申し上げます。
目的別の主要費目としましては、民生費が744億8,204万円で構成比46.8%、総務費が169億5,286万円で構成比10.6%、教育費が161億8,685万円で構成比10.2%、土木費が128億2,391万円で構成比8.0%となっております。
性質別では、普通建設事業が、上津クリーンセンター更新事業や市街地再開発事業などの増に伴い、対前年度比24.0%の増、物件費が、情報システムの標準化・クラウド化への対応や、学校での児童生徒1人1台の端末機の更新などとともに、物価高の影響もあり、13.1%の増、扶助費が、認定こども園等への給付費の増や、児童手当の増により、9.4%の増となる一方で、貸付金が、中小企業緊急経営資金預託金などの減に伴い、10.5%の減となっております。
また、義務的経費は、7.3%増の844億873万円で、歳出総額に占める割合は53.0%となっております。
次に、歳入についてご説明申し上げます。
まず、市税につきましては、個人所得の伸びや個人市民税定額減税による減収分の復元等によって、過去最高額の対前年度比7.0%増の435億円を見込んでおります。
地方交付税は、国が策定する地方財政計画を踏まえ、対前年度比7.2%増の244億1,400万円を計上いたしております。
繰入金は、先ほど申し上げましたとおり、令和6年度より10億円多い40億円を、財政調整基金などの、主要4基金から計上いたしております。
市債は、臨時財政対策債の発行がゼロとなる中、建設事業の増加等により、対前年度比2.3%増の87億4,830万円を計上いたしております。
また、諸収入のうち、競輪事業収入につきましては、5億円を計上いたしております。
以上が、一般会計予算の概要でございます。
続きまして、特別会計についてご説明申し上げます。
国民健康保険事業は、総額325億8,700万円を計上いたしております。健康増進及び医療費の適正化などに取り組み、健全な財政運営に努めます。
競輪事業は、総額381億6,200万円を計上いたしておりまして、先ほども触れましたとおり、5億円を一般会計に繰り出します。競輪事業会計からの繰出金は市の財政運営にとって大変貴重な財源となっており、今後も収益の確保に努めるとともに、競輪場を含めた周辺エリアが市民の憩いの場にもなるように、老朽化した施設の再整備を進めます。
介護保険事業は、総額304億600万円を計上いたしておりまして、認知症の早期発見・早期対応の取組や介護予防活動の実施などに取り組みます。
そのほか、卸売市場事業は4億300万円、市営駐車場事業は1億7,000万円、農業集落排水事業は2億7,500万円、特定地域生活排水処理事業は2億4,800万円、後期高齢者医療事業は59億4,600万円、母子父子寡婦福祉資金貸付事業は1億2,300万円、産業団地整備事業は15億円を、それぞれ計上いたしております。
次に、公営企業会計についてご説明申し上げます。
水道事業の収益的収支は、収入52億4,224万円、支出50億7,926万円を計上し、消費税等を差し引いた純利益は、7,678万円を見込んでおります。
資本的支出は、配水管の更新など、総額33億2,574万円を計上いたしております。
下水道事業の収益的収支は、収入90億5,494万円、支出82億2,133万円を計上し、消費税等を差し引いた純利益は、4億9,185万円を見込んでおります。
資本的支出は、管渠の計画的整備、施設の耐震化及び市街地の浸水対策など、総額97億2,467万円を計上いたしております。
次に、第2号議案から第5号議案は、令和6年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の補正予算案でございます。
まず、一般会計でございますが、47億5,167万円の追加と、21億1,343万円の減額とをあわせまして、26億3,824万円の追加をお願いするものでございます。補正後の予算総額は1,556億3,900万円となります。
以下、主な事業について説明いたします。
まず、国県の補正予算を活用した事業といたしまして、内環状道路の整備に必要な費用として1億1,006万円、小中学校施設の長寿命化を図るために必要な費用として、2億5,332万円など、15事業、16億2,242万円の追加をお願いいたしております。
次に、物価高騰対策に伴うものといたしまして、食材費や電気代などの高騰の影響を受けている福祉施設等への支援として、4事業、3億9,550万円を計上いたしております。
また、事業進捗に伴うものといたしまして、公定価格の見直しなどにより、保育所運営費や施設型給付費、地域型保育給付費などの増加に対応するための費用として6億6,091万円など、14事業、15億7,065万円を計上いたしております。
さらに、人件費の補正といたしまして、退職手当11億6,310万円を計上いたしております。
一方で、中小企業金融対策事業や予防接種費等、事業の進捗にあわせ、16事業、21億1,343万円について減額の補正をお願いいたしております。
以上、これらの補正予算の計上に必要な財源は、地方交付税10億2,840万円、国庫支出金9億5,692万円、県支出金3億5,854万円、寄附金3億3,130万円、繰入金5,340万円、市債5億6,290万円
の増額並びに、分担金及び負担金7,663万円、諸収入5億7,659万円の減額で措置いたしております。
このほか、継続費の変更を1事業、繰越明許費の追加を17事業、変更を5事業、債務負担行為の変更を3事業お願いいたしております。
次に特別会計でございますが、
国民健康保険事業につきましては、決算剰余金を国民健康保険財政調整積立基金に積み立てるため、9億4,800万円を追加するものでございます。
介護保険事業につきましては、介護サービス給付の増加により予算が不足するため、6億949万円を追加するものでございます。
公営企業会計では、下水道事業につきまして、国の補正予算を活用し、令和7年度事業を前倒しするもので、排水ポンプ場や浄化センターの施設改修など6億6,452万円の追加及び継続費の変更をお願いしております。
次に、第1号議案の専決処分に係る議案及び第19号議案から第28号議案までの一般議案について、各議案の提案理由をご説明申し上げます。
第1号議案は、久留米シティプラザで発生した自動車損傷事故により、被害者の受けた損害を賠償するに当たり、その額の決定及び和解の必要が生じましたが、緊急を要したため、専決処分しましたので報告し、承認を求めるものでございます。
第19号議案は、令和7年度に係る包括外部監査契約を締結しようとするものでございます。
第20号議案は、地域の活性化に資する学校跡地利用を促進するため、旧下田小学校施設を無償譲渡することについて、議決を求めるものでございます。
第21号議案は、久留米市総合福祉会館の指定管理者を指定しようとするものでございます。
第22号議案から第25号議案までは、障害者相談支援事業に係る消費税の取扱い誤りにより業務委託契約の相手方の受けた損害を賠償するに当たり、その額の決定及び和解について、議決を求めるものでございます。
第26号議案及び第27号議案は、久留米市田主丸老人福祉センター及び久留米市三潴総合福祉センターのそれぞれの指定管理者の指定期間を延長しようとするものでございます。
第28号議案は、令和7年度から供用開始する都市公園について、指定管理者を指定しようとするものでございます。
続きまして、第29号議案から第41号議案までの条例議案について、各議案の提案理由をご説明申し上げます。
第29号議案は、いわゆる『番号法』の一部改正に伴い、用語の整理を行うため、関係条例の一部を改正しようとするものでございます。
第30号議案は、『刑法等の一部を改正する法律』の施行により、懲役及び禁錮が廃止され、代わりに拘禁刑が創設されることに伴い、用語の整理を行うため、関係条例を改正しようとするものでございます。
第31号議案は、『雇用保険法』の一部改正に伴い、就業促進手当に相当する失業者の退職手当に係る規定の整備等を行おうとするものでございます。
第32号議案は、昭和37年の地方公務員に関する年金制度統合前の制度による年金の支給が終了したため、関係条例を廃止しようとするものでございます。
第33号議案は、『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』の一部改正に伴い時間外勤務の制限対象者を拡大するとともに、休暇制度の拡充を行おうとするものでございます。
第34号議案は、国民健康保険料の徴収猶予の期間を1年以内とすることができる特例を設けるとともに、用語の整理を行おうとするものでございます。
第35号議案は、『子ども・子育て支援法』の一部改正に伴い、用語の整理を行おうとするものでございます。
第36号議案は、『児童福祉法』の一部改正に伴い、乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定めるため、条例を制定しようとするものでございます。
第37号議案は、『都市計画法』の規定に基づき、開発行為に伴う公園等の設置に係る独自基準の設定等を行おうとするものでございます。
第38号議案は、『建築基準法』及び『建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律』の一部改正等に伴い、手数料の改定、区分変更、新設等を行おうとするものでございます。
第39号議案は、近隣商業地域、商業地域及び準工業地域において、新たに建築を制限する特別用途地区を指定しようとするものでございます。
第40号議案は、市営住宅等への指定管理者制度の導入、特定公共賃貸住宅及びコミュニティ住宅の適正な管理を確保するための規定の整備等を行うため、関係条例を改正しようとするものでございます。
第41号議案は、家庭系廃棄物をごみ処理施設へ搬入する場合の手数料の額の改定等を行おうとするものでございます。
以上をもちまして、各議案の提案理由についての説明を終了いたしますが、何卒、慎重なるご審議の上、満場のご賛同を賜りますようお願いを申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
(令和7年2月18日)