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更新日:2024年09月03日 13時41分
皆様、おはようございます。
令和6年第4回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集を賜り、誠にありがとうございます。
本日、ここに提案いたしております各議案の提案理由をご説明申し上げますが、はじめに、今回の台風と6月、7月の雨及びその対応について述べさせていただきます。
先週、九州に上陸し日本列島を縦断した台風10号の影響により、猛烈な風や線状降水帯が発生し、各地に甚大な被害をもたらしました。まずもって、被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げます。幸い、久留米市では大きな被害の発生には至らなかったところです。
また、6月末から7月にかけてまとまった雨が降り、大雨警報の発令や線状降水帯の発生予測、河川の水位上昇などがありましたが、昨年のような大雨にはならず、人的被害や住宅の浸水などの被害はありませんでした。
今年度は梅雨前に、私自ら校区コミュニティ組織や自治会の代表の皆様へ、浸水対策の説明や早期避難の呼びかけを行い、あわせて、土砂災害警戒区域がある校区には、有識者による研修会を開催しました。
今回の台風や6月、7月の雨では、指定避難所や自主避難所を開設し早めの避難を呼びかけました。台風の際は最大で564世帯864人の避難があるなど避難行動につながっており、また、地域の独自避難所も開設されました。これまでの取組の積み重ねにより、市民の防災意識が高まっていると感じています。
また、今年の出水期から稼働可能となったハード施設も機能しました。7月1日の雨では、久留米大学グラウンドや御幣島公園の雨水貯留施設が稼働して下弓削川周辺の浸水が軽減し、また、7月14日から15日にかけての雨では、排水管とポンプを地下に埋設した金丸5号雨水幹線が稼働し、池町川周辺の浸水の軽減が図られました。国・県・市で力をあわせて対策を講じてきた効果によるものと考えております。
このように、防災意識の高まりや浸水対策の効果が目に見える形で現れてきており、市民の皆さんとともに災害に強いまちづくりを着実に進めることができているものと力強く感じているところです。
今後も台風のシーズンは続きますし、ゲリラ雷雨など予期しない大雨の恐れもありますので、引き続き、早めの避難の呼びかけや適時の施設稼働などしっかりと対応していきたいと考えております。
続きまして、重要課題の取組状況について、3項目申し上げます。
1つ目は、将来を見据えた都市基盤の形成についてです。
人口減少が進む中で、都市の活力を維持し、安心して暮らし続けられるまちを形成していくためには、戦略的な都市基盤の整備が非常に重要です。
こうした考えのもと、災害に強く利便性の高い道路ネットワークの形成を目指して、スマートインターチェンジの設置を精力的に国などに働きかけてまいりました。昨年9月に、国土交通省より「準備段階調査」箇所に選定され、今年7月には、国・県・市・西日本高速道路株式会社などで構成する地区協議会において実施計画書が承認され、国土交通省に提出いたしました。
このスマートインターチェンジの設置は、災害に強いネットワークの構築につながり、安心・安全のまち、活力のあるまちの実現に大いに寄与するものであります。これまで重ねてきた活動によって、私どもの強い思いが届き、事業化につながるよう願っております。
また、県南の中核都市として、久留米市が持続可能な形で発展していくためには、広域求心力のある中心拠点を時流に適した形でつくっていくことが重要です。
しかしながら、交通結節機能や都市機能が集積する西鉄久留米駅周辺は、長期にわたり都市基盤や都市機能の大きな更新がなされていない状況です。
このようなことから、時代に即した、魅力的で賑わいのある利便性の高い拠点形成を目指して、西鉄久留米駅周辺におけるポテンシャルと課題を整理し、まちづくりの基本方針や将来像を取りまとめた整備構想を策定いたします。策定にあたっては、地元のまちづくり団体や交通事業者、学識経験者、関係行政機関などによる有識者会議を設置し、様々な視点からご意見をいただいてまいります。高次都市機能の集積や、人が集い回遊できる空間整備など、あらゆる可能性を探っていきたいと考えております。
あわせて、人口減少下での活力維持には、増加する空き家への対応も重要な鍵となってきます。市内の空き家は、平成30年の調査で約2万戸と住宅総数の14%となっています。昨年度には、空き家の実態調査を行い、戸建てで、老朽化した利用目的のない空き家を1,812件特定したところです。
国においては、管理不全空き家について、敷地の固定資産税の厳格化を図るなど空き家対策を強化していますが、久留米市では、その対策に加えて、所有者による自主的な解体を後押しするため、勧告に至らず解体された空き家の敷地の固定資産税について、一定期間減免する制度を今年度導入したところです。
使用可能な空き家は流通・活用できるように、また、管理不全や状態が悪いものは除却し次の利活用ができるように、促していきたいと考えております。
今後、人口減少がさらに加速する中で、コンパクトで魅力ある拠点市街地の形成や、拠点間のネットワークの強化、既存ストックの有効活用はますます重要となります。こうしたことを踏まえながら、将来を見据えた都市基盤の形成に取り組んでいきたいと考えております。
2つ目は、地域産業の振興・発展についてです。
わが国の経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など前向きな動きがみられ、新たなステージに移行しつつあるとされています。
しかしながら、市内企業の現状をみますと、物価高騰や人手不足、事業継承といった課題に直面している状況があり、生産性の向上や経営の改善が急務となっています。
こうした状況を踏まえ、久留米市では、商工団体や国・県とも連携し、企業のDXや販路開拓の促進、経営改善に向けた支援を行うとともに、産業支援機関を通じた新規分野への参入、新たな事業展開などの支援を行っております。
また、企業の合同会社説明会出展や情報発信の支援を行うとともに、市内企業への就職希望者に対し職業訓練等の支援を行うなど、人材確保のための取組も行っています。
人口減少に伴う生産年齢人口の減少や経済縮小の影響は、地方圏においてより大きくなると想定されます。こうした状況下でも、地域の雇用や経済を支える中小企業が成長し、稼ぐ力を強化できるよう、企業の実情や社会情勢に応じた効果的な支援に取り組んでいきたいと考えております。
また、こうした取組にあわせ、地域産業をけん引する新しい産業の誘致や創出も重要となります。
これまでも、精力的に企業誘致を行ってきており、今年度は、ソフトウェア受託開発などを行う企業の市中心部への進出が決定するとともに、久留米・うきは工業団地に、建築用加工ガラス製造企業の立地が決定し、全区画が完売いたしました。
台湾半導体企業の熊本進出を契機に、半導体関連の需要が急速に拡大し九州に関連産業の集積が進むなど、産業を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。こうした状況も踏まえ、これまで取り組んできたバイオ産業を含め、成長可能性の高い産業の集積に向けて、時機を逸せずに、新たな産業団地の整備や企業誘致に取り組んでいきたいと考えております。
加えて、スタートアップのさらなる推進やものづくり支援なども進めながら、足腰の強い産業構造をつくっていきたいと考えております。
あわせて、久留米市の基幹産業の一つである農業について、競争力や持続力の高い産業に転換していくことも重要だと考えております。
久留米市の農業産出額は県内トップを誇っておりますが、市内の農業従事者数は、この10年間で約4割減少し、65歳以上の割合は1割以上増加しており、担い手不足、高齢化が大きな課題となっています。新規就農支援など様々な取組を行っておりますが、担い手の減少に歯止めがかからない状況があります。
こうした状況を踏まえ、農作業の省力化につながるスマート農業への支援に取り組んでおり、昨年度までに92件のスマート農業機械の導入等を支援しました。加えて、今年度は、農業機械の自動操舵を行うための位置補正情報を発信するRTK基地局活用の実証事業を行っているところです。
また、農業従事者の所得向上に向け、6次産業化や農商工連携といった農業経営の多角化支援を行っています。今年度は内容をリニューアルし、事業化に向けた計画作成から開発・販売の段階に応じた伴走支援を行い、チャレンジしやすい環境整備を行ったところです。
今後、人口減少が進む中で、担い手不足はさらに深刻化すると推測されますので、農業の生産性や収益性の向上の取組を、より一層推進していきたいと考えております。
変化の激しい時代において将来を展望しますと、まちの活力維持のためには、これまでの延長線上にない思い切った取組が必要となります。都市基盤の整備や地域産業の振興、雇用の場の確保は、市民生活の基礎であり、都市の活力の基盤でもあります。従来のやり方にとらわれず、時代の潮流を的確にとらえながら、将来を見据えて積極的に取り組んでまいります。
3つ目は、こどもまんなかの取組についてです。
こどもを取り巻く環境は、少子化や家族形態の多様化、地域のつながりの希薄化、価値観の多様化など、昨今の社会的背景によって大きく変化してきています。家庭や地域の子育て力の低下が懸念されており、近年は、不登校やヤングケアラー、貧困や虐待など、こどもや家庭、そして、それらを取り巻く社会が抱える課題も増加傾向にあります。
こうした課題に対し、不登校児童生徒の学校内外での居場所づくりや、ヤングケアラーなど困りごとを抱える家庭の家事等の支援など、取組の充実を図っているところです。
昨年4月に施行されたこども基本法では、すべてのこどもや若者が、将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指して、こども施策を総合的に推進するとされています。また、こども施策を進める際の基本理念として、こどもが自分に直接関係するすべての事項に関して、意見を表明する機会が確保されること、すべてのこどもは意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることなどが定められており、こども施策に対して当事者が意見を言える場や仕組みをつくることが、地方自治体に求められています。
現在、久留米市では、こうしたことを踏まえ、こども自身の権利や困りごとを周囲に相談してもよいことなどを知る体験型学習に取り組んでおり、保育所や小学校、中学校で実施しています。
それに加え、今年度は、次期総合計画やこども計画の策定に際し、こどもや若者の意見を聞く取組を行っています。
具体的には、市内の小学校や中学校、特別支援学校などへ職員が出向き、少子化・人口減少といった市の現状について説明し、将来どんなまちになってほしいか、などについて意見を聞いているところです。
また、小学生から39歳までのこどもや若者を対象として、こどもや若者にとって住みやすいまちなどをテーマに議論するワークショップを、今月開催することとしています。
こどもや若者の皆さんが、自分たちが育つ環境や暮らすまちの将来を考える機会を持つことは、「人」を育てるという視点からも重要だと考えております。こどもや若者が暮らしやすい社会をつくることができるよう、こどもや若者自身の意見を聞く取組の充実を図っていきます。
続きまして、2点ご報告させていただきます。
1点目は、久留米市ゆかりの人の活躍についてです。
7月から9月にかけて、パリオリンピック・パラリンピックが開催されており、久留米市ゆかりの選手の活躍がありました。
柔道の素根輝選手、パラテコンドーの田中光哉選手、自転車競技の今村駿介選手、内野艶和選手、池田瑞紀選手、そして、7人制ラグビー女子の中村知春選手が出場しました。
2021年の東京オリンピックで金メダルを獲得した、素根選手の試合当日には、久留米アリーナでパブリックビューイングを開催し、南筑高校柔道部の皆さんなど300人を超える方々が集まって応援しました。負傷による途中棄権で、惜しくもメダル獲得には至りませんでしたが、最後まで諦めずに戦い、激戦の末惜敗した素根選手に大きな拍手が送られていました。
また、同時期には、北部九州4県を中心に全国高等学校総合体育大会が開催され、7月27日には久留米アリーナで総合開会式が開催されました。久留米市では8月7日から13日までハンドボール競技が開催され、監督・コーチを含め約1,600人が参加し、熱戦が繰り広げられました。
この大会には、市のトップアスリート強化認定選手など久留米市ゆかりの選手が様々な競技に出場しており、自転車では祐誠高校の鶴葵衣選手、相撲では北野中学校出身の稲富央樹選手が優勝するなど、素晴らしい結果も残しています。
久留米市ゆかりの選手の活躍は、私たち久留米市民に大きな勇気と感動を与えてくれます。選手の皆さんの活躍を称えるとともに、今後のさらなる躍進を期待したいと思います。
加えて、10月には、久留米市出身のアーティストも出演される音楽イベントが、2日間にわたって開催されます。久留米を盛り上げようと、市にゆかりのある人たちが企画されたもので、新たな賑わいを創出する事業として市も支援しています。今後も、こうした取組がさらに広がっていくことを期待しています。
2点目は、公立保育所の再編についてです。
久留米市では、市議会の行財政改革等に関する調査特別委員会から出された意見などを踏まえ、平成14年度から平成23年度までの間に、2次にわたる公立保育所の再編により民間移譲を実施しました。これまでの民間移譲では、延長保育などの保育サービスの充実や特色ある運営、老朽化した園舎の改築などにより保育環境の充実が図られ、保護者からも評価を受けてきています。
現在、9か所の公立保育所を運営していますが、財源や人材が限られていく中で、多様化するニーズに対し安定的に保育サービスを提供するために、「民間にできることは民間に任せる」との考えのもと、第3次の公立保育所の再編により一部を民間移譲することが必要だと判断いたしました。
一方で、公立保育所には、特別な対応が必要な子どもへの保育の実施や災害時等におけるセーフティネット、さらには、市全体の保育の質の向上に寄与する人材を育成するといった役割があります。こうした役割もしっかり果たしていきたいと考えております。
民間移譲については、地域バランスを考慮し、現在、荒木保育園、白峯保育園の2か所について、令和8年度の移譲に向けた取組を進めております。今回の移譲につきましては、適切な事業者の選定や、以前よりもさらにきめ細かな引継ぎを行うこととしており、こうした対応やこれまでの移譲の事例などを保護者の皆様に丁寧に説明し、民間移譲後も児童と保護者の皆様が安心して施設を利用できるように取り組んでまいります。
ここで、本日提出いたしております議案の審議をお願いするにあたりまして、各議案の概要をご説明いたします。
第86号議案から第88号議案は、令和6年度一般会計及び特別会計の補正予算でございます。
はじめに一般会計でございますが、8億8,915万円の追加をお願いするものでございまして、補正後の予算総額は1,509億5,125万円となります。
以下、主な事業について説明いたします。
第3次公立保育所運営再編計画に基づき、荒木保育園、白峯保育園の移譲先法人を選考するための費用として13万円あわせて、移譲先法人の選考にあたり、令和7年度に行う引継ぎ保育を担保するために、1,376万円の債務負担行為の設定もお願いしているところです。
次に、農業分野のDXを推進するスマート農業機械の導入経費の一部を助成する費用として、1億1,822万円、市内就職促進のため、正社員就職を目指す就職氷河期世代や若年層に対する職業訓練の支援事業について、当初の見込みを上回っており、予算の不足が見込まれるため、増額にかかる費用として、444万円、昨年7月の土砂崩れにより被災した、竹野校区の消防団格納庫の移転・再整備のための費用として、1,114万円、久留米商業高等学校が国の採択を受けて行うDX人材を育成するための取組に関する費用として1,000万円、合併処理浄化槽設置整備事業費補助金について、当初の見込みを上回っており、予算の不足が見込まれるため、増額にかかる費用として、4,403万円、本年6月下旬から7月上旬の降雨により発生した、インフラ等の被害を復旧する費用として、2,416万円。
以上、これらの補正予算の計上に必要な財源は、地方交付税4億5,492万円、国庫支出金2億7,415万円、県支出金1億2,998万円、市債3,010万円で措置いたしております。
このほか、債務負担行為につきましては、先ほど説明しました引継ぎ保育に関するものもあわせまして、2件の追加をお願いいたしております。
次に、特別会計でございますが、国民健康保険事業及び介護保険事業につきましては、過年度の国県等支出金の精算に伴う返還金として、それぞれ8,781万円及び1億2,335万円の追加をお願いいたしております。
続きまして、第89号議案の一般議案について、提案理由をご説明申し上げます。
第89号議案は、いわゆる『番号法』等の一部改正により、現行の被保険者証が令和6年12月2日以降、発行されなくなることに伴い、『福岡県後期高齢者医療広域連合規約』の一部を改正する必要があるため、当該規約の一部変更に関し、関係市町村と協議することについて、『地方自治法』の規定により、市議会の議決を求めるものであります。
続きまして、第90号議案から第96号議案までの条例議案について、各議案の提案理由をご説明申し上げます。
第90号議案は、個人番号カードによる印鑑登録証明書の窓口交付及び磁気ディスクによる印鑑登録原票の調製を規定しようとするものであります。
第91号議案は、『国民健康保険法』の一部改正による国民健康保険被保険者証の廃止等に伴い、用語の整理を行おうとするものであります。
第92号議案は、『児童扶養手当法施行令』の一部改正に伴い、用語の整理を行おうとするものであります。
第93号議案は、無料低額宿泊所の設備及び運営の基準について、市独自の基準を明確化するため、条例の全部を改正しようとするものであります。
第94号議案は、附属機関である『久留米市立保育所の移譲に係る受託法人選考委員会』の名称及び担任事務を整理しようとするものであります。
第95号議案は、『児童手当法』の一部改正による児童手当の支給要件に係る所得制限の撤廃及び特例給付の廃止に伴い、用語の整理を行おうとするものであります。
第96号議案は、『産業競争力強化法』の一部改正に伴い、用語の整理を行おうとするものであります。
以上をもちまして、各議案の提案理由についての説明を終了いたしますが、何卒、慎重なるご審議の上、満場のご賛同を賜りますようお願いを申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
(令和6年9月3日)