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更新日:2024年09月13日 16時20分
HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)のことで、ヒトの体をさまざまな細菌、カビやウイルスなどの病原体から守る(このことを”免疫”といいます)のに大変重要な細胞である、Tリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染するウイルスです。HIVは大きく分けて、HIV1型とHIV2型があります。
HIVがTリンパ球やマクロファージ(CD4陽性細胞)などに感染した結果、これらの細胞の中でHIVが増殖します。このため、免疫に大切なこれらの細胞が体の中から徐々に減っていき、普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気を発症します。この病気の状態をエイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)と言います。代表的な23の疾患が決められており、これらを発症した時点でエイズと診断されます。
HIVに感染すると、HIVは血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く分泌されます。唾液、涙、尿などの体液では他のヒトに感染させるだけのウイルス量は分泌されていません。感染は、粘膜(腸管、膣、口腔内など)および血管に達するような皮膚の傷(針刺し事故等)からであり、傷のない皮膚からは感染しません。そのため、主な感染経路は「性的感染」、「血液感染」、「母子感染」となっています。
HIV感染は、性行為による感染が最も多いです。また、男性同性間の性的接触では、腸管粘膜から精液中のHIVが侵入します。機械的な刺激の強い膣や口腔の粘膜は重層ですが、腸管粘膜は単層であることから傷つきやすいため、HIVが侵入しやすく、膣性交よりも感染リスクが高くなります。
輸血、注射器・注射針の共用による麻薬の回し打ち、医療現場による針刺し事故などから、感染者の血液が他のヒトの血管中に侵入することにより感染が成立します。
母子感染は、出産時の産道感染、母乳哺育による感染、胎内感染があげられます。適切な母子感染予防対策を実施することにより、現在では母子感染率を0.5%未満にまで低下させることが可能となっています。
令和5年における福岡県内の報告数は、HIV感染者が45名、エイズ患者が14名、総数59名でした。令和6年(9月6日までの速報値)の福岡県内の感染者数は、HIV感染者が25名、エイズ患者が13名、総数38名となっております。
HIVに感染しても、早期に検査をすれば、エイズ発症の前に発見できます。しかし、検査を受けないために、エイズを発症してから発見されるケースが増えています。早期に治療ができるよう、HIV検査を受けて、感染を早期に発見することが大切です。
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
HIV感染者 | 44 | 29 | 29 | 46 | 45 | 25 |
エイズ患者 | 29 | 12 | 25 | 17 | 14 | 13 |
合計 | 73 | 41 | 54 | 63 | 59 | 38 |
(注)令和6年の数値は、9月6日までの速報値です。
HIV感染の原因は8割以上が性的接触によるものです。正しい知識を持ち適切な予防行動をとることで、感染を予防することができます。
HIV感染症の治療開始の遅れは、生活の質の低下や生命予後の悪化につながります。しかし、現状では、エイズの発症によって、HIVに感染していたことが分かる例がHIV感染者全体の3割を占めています。エイズを発症して未治療の場合の予後は2〜3年です。エイズを発症してからの治療もある程度は奏功しますが、その効果は、発症前と比較して明らかに劣ります。エイズ発症前の無症候期の間にHIV感染を知ることができれば、定期的な医療機関での受診およびフォローアップ検査により、最適な時期に治療を始めることができます。
また、久留米市保健所では、性感染症の検査を実施しています。症状は無いけれど感染不安のある方も受検可能です。
詳しくは、性感染症の検査・相談のページをご覧ください。