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【グッチョVol.36・特別号】叶え合う支援の実装へ/AIにはできない 新しい福祉のカタチ

更新日:202411291000


【市役所がしよるこつです】暮らしと暮らし 重なるまちに

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テキスト版

【リード】
今回のグッチョは臨時号。久留米市で「叶え合う支援」という理念を旗印に掲げた新たな支援事業がスタートしました。困りごとを抱えた人もそうでない人も、暮らしの中で人と人とが関わり合う。そんな街を目指します。
【本文】
(制度だけに頼らない)
病気を抱える、障害がある、生活が苦しい、人間関係が保てない、仕事が続かないー
暮らしの中で困り事を抱える可能性は誰にもあります。その時に相談に乗ったり解決に向けたサポートを行ったりする機関や窓口はいくつもあります。しかし、その対象に当てはまらなかったら。制度には必ず支援の狭間が生じます。
国は地域共生社会の実現を呼びかけています。制度だけではなく地域の関係性も含めて暮らしを支え合える街を作ろうと呼びかけています。そして久留米市では、新しい支援のあり方を考える取り組みが進んでいます。「叶え合う支援」です。
解決するだけではなく、願いを叶えるためにいろんな人が関わり合う。そんな視点も必要ではないか。「制度・サービス」と「住民の関わり合い」が2車線道路のように整備されれば、対応できることの幅が広がり、いろんな人の主体性が生まれるのではないかと考えています。
(「参加支援事業」を通して実装)
現在、「高齢」「障害」「生活困窮」「子育て」など、属性ごとの支援を横繋ぎし、誰も取り残されない支援体制が整備されています。同時に、さまざまな分野で地域の居場所づくりや支え合いの仕組みづくりが進んでいます。その力を誰かの暮らしや困りごとに生かすためには、「接着役」が欠かせません。
久留米市は令和6年度から「叶え合う参加支援事業」を開始。叶え合う支援を理念に掲げて、市民活動団体や企業、地域コミュニティ、そして住民も、何らかの形で個別支援に関わる仕組みを作ります。
(多様な人々の関わりを重ねたい)
事業を受託しているのは久留米AU-formal(アウフォーマル)実行委員会です。実行委員会の思いは「福祉・支援の概念を広げたい」。とある活動団体が「私たちの活動は福祉活動ではないのですが、関わることができますか」と言いました。しかし、どのような活動であれか、誰かの「居場所」だったり「活躍の場」になったりする大切な力なのです。
あらゆる人、あらゆる団体、あらゆる企業。それぞれの特徴を重ね合わせて、「暮らしと暮らしが重なり、関わり合う」街になれば、久留米らしい地域共生社会に近づけるのではないでしょうか。 【リード】
久留米市ではじまった新しい福祉の形「叶え合う支援」。この事業に携わっている久留米市地域福祉課と久留米AU-formal実行委員会とで座談会を開催。「叶え合う支援」とは何か?これまでの経緯やそれぞれの立場から感じることを本音で話してもらいました。対談メンバーは、永田さん(市)、中村さん(AU)、畠中さん(AU)、和泉さん(市)、藤野さん(AU)、淵上さん(市)、高橋さん(AU)、松石さん(市)です。
【実行委員会代表の談話】
(人として関わる福祉ヘ)
久留米AU-formaI実行委員会 代表 中村路子
人口減少社会の中、いろんな人たちが関わりあう地域共生社会になることは日本全体の課題です。私たちも、年齢や性別関係なくつながるには、どんなプラットホームが必要かをみんなで考えて、さまざまな場をつくりました。
その一つに、心の内にあるロマン(理想や大切にしていること)を語り合うことで、人との関わりを広げ深める企画がありました。ロマンを自然体で語れる街って素敵じゃないですか。その場を運営する中で「福祉って、かわいそうな人を支援するというイメージがある」「役割やメリットがないと何もできない」という人の多さに気づきました。けれど、本来は「あの人の情熱を聞いて感動したから仲良くなりたい」というような、人としての感覚を大事にしながら関わることが必要だと思いました。
行政と市民活動団体では、支援の優先順位や価値観が違います。制度やサービスで暮らしを守ることはこれからも必要。それに加えて、人としての感覚に基づいた「叶え合う支援」を皆さんの暮らしの中に当たり前にある状態にしていきたいです。そのためにも、市役所や社会福祉協議会、そしていろんな支援機関と一緒に取り組んでいきたいと思っています。
【対談本文】
(楽しみへの関わりなら私にも) 
藤野:一昨年、フォーマル(公的な支援制度)とインフォーマル(制度を使わない支援)の連携可能性を探るために、久留米AUーformaI実行委員会(以下、AU)のメンバーで 5件の個別支援に携わりました。行政の支援もある中で、「成人式に出よう」「カラオケ大会をしよう」みたいな、ワクワクを生み出すことが私たちの担当でした。走り回ったし動き回ったけど、大変というより楽しかったです。
高橋:私は企業の立場で参加しました。課題を解決することなら専門の知識が必要。でも楽しみの方なら何かできそうだなと、何もわからないまま藤野さんと一緒に個別支援の現場に行ったのが最初でした。 企業活動では見えていないことがたくさんあり、そういう地域の中で事業をしていることを認識することが大事だと感じたし、企業側にもできることがあるとわかりました。 
藤野:本人の意識も変化したし、私たちも感動したり、信頼できる仲間ができたりして、とても良かった。 一人の幸せがみんなの幸せにつながるのを見て、「叶え"合う"だよね」と一人のメンバーが言ったことから「叶え合う支援」という言葉が生まれてきた気がします。 
(制度の限界に対する一つの答え) 
淵上:市役所の窓口に相談に来た人に合致する制度がないとお帰り頂くしかない。そんな時、なんのために市職員になったのか分からなくなっていました。「叶え合う支援」は、そこに対する答えが見つかるのではないか、制度では対応できなかったことに対応できるのではないかと希望を持っています。 
和泉:行政としてとか、担当課としてだけの関わりではなく、自分も一生活者。そう思うと目の前の人にどう関わりたいのか、という思いが自然と沸き起こるようになるのかな。
永田:今は地域福祉のあり方、考え方を変えていかなければいけない時。AUの皆さんの話や実践がとても勉強になります。
松石:昔、支援は「処遇」や「指導」と言っていました。そこから「援助」に変わり「支援」という言葉に。これからは「叶え合う支援」がスタンダードになっていくのかもしれないと感じます。誰もが福祉に関わる時代。これこそAIにはできない新しい福祉だと思いますね。
(安心、信頼。「幸せって何」)
畠中:「お金がなくなった時、お茶碗 とお箸を持って行ったら、ご飯食べさせてくれる?」と聞くと「喜んで食べさせる」 と即答してくれる関係性がここにはある。お金やメリットではなく、何が起きても大丈夫という安心感、信頼は何にも代えがたいですよ。支援も同じですね。
中村:正直、もうやめたいとか、関わりたくないとか、何のためにしているのか分からなくなることもある。けれど、「社会のための礎をつくりなさい」と祖母と約束したことを思い出して、何の礎が必要なのか自分の頭で考え動くと決めています。人と関わるのは正直面倒。でも、面倒なことが増えるほど人って幸せになれるし、笑顔が増えると感じます。やっぱり自分のためですね。

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