トップ > 健康・医療・福祉 > 障害者支援・地域福祉・生活支援 > 久留米の地域福祉マガジン「グッチョ」 > 「見守り」、「見張り」。どっち?
更新日:2021年11月11日 11時01分
【「見てるだけ」に絞って】
カーテンが半分開いた窓際にたたずむ人。添えたキャッチコピーは「あ、カーテン 今日も開いたね」。令和2年度に作った地域福祉の啓発ポスター・チラシです。ポスターは市内6000以上の事業所に、チラシは公共施設や関係機関、協力してくれる人たちに配りました。伝えたいことは一つ。「見てるだけ。それも確かな地域の力」と思ってもらえることです。
たまにはまじめな書き出しでしょ。
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モデルは御年90歳の浦田二三夫さん。安武町で一人暮らしをしています。校区の地域食堂などにもよく顔を出し、人から何かしてもらったらお返しを欠かさない。軽妙なトークでユーモアにあふれている。近所ではマスコット的存在です。
出会いは、同じ年度に開催していたおしゃべりの場でした。そこで浦田さんの日課を知りました。「朝起きたらリビングのカーテンを半分開ける」。それをお向かいさんが見て、毎朝無事を確認します。
ポスターの企画はここから生まれました。地域共生社会の実現で大切なことは「住民同士の支え合い」です。しかし、「地域活動を始める」と思うとハードルが高い。ならば「近所の人や状況に意識を向ける」だけならどうでしょう。例えば、通勤の時にチラ見してカーテンが開いていなかったら。浦田さんのトレードマークとなっているはんてん。思わぬ場所でそのはんてん姿を見かけたら―――。
誰かが早く異変に気づけば、悩んでいる人が、そして命が救われるかもしれません。多くの人の意識の「小さな変化」こそ、支え合いが当たり前になる大きな一歩だと思うんです。
【本当に暮らしやすくなるの?】
やっとテーマにたどり着きました。先日、数十年にわたって地域福祉を研究している大学教授と話す機会がありました。ポスターを紹介すると、教授から質問を投げかけられました。「目を向ける人が増えると、本当に暮らしやすい街になるの?」。
「見守り」なのか「見張り」なのか。地域に意識を向けることで、困っている人が助かる瞬間はあるはず。一方で、目を向けられる立場からしたらどう感じるのか。教授はそれを言いたかったのでしょう。
僕は、意識を向ける人が増えてほしいと思います。しかもゆるやかに。ライフスタイルや価値観の多様化が進んだ結果、地域への無関心が助長され、人の絆を弱めてきたのではと思います。だからといって、昔のムラ社会のような「プライバシーが保たれないこともある」 地域の姿は、今の私たちの暮らしになじむとは思えません。ならば「距離感はほどほど。でも気持ちはくっつく」くらいの、地域の関係性があっても良いのではと思うのです。
そして教授は続けました。「関わりっていうのは程度もの。遠すぎは良くないけど、やりすぎも良くない。そういう議論のきっかけになれば、ポスターを作った意味がある」。皆さんはどう思いますか。
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最後に皆さんにお願いです。このチラシを置いてくれるお店や会社などを募集しています。支えグッチョなご連絡をお待ちしています。
(担当・フトシ)