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更新日:2022年09月21日 13時42分
最近、「協働」という言葉をよく耳にします。
協働とは、私たちが暮らす久留米市が、安全・安心でより住みやすいまちとなるよう、校区コミュニティ組織や自治会などの地域コミュニティ組織、市民公益活動団体、事業者、行政などが、お互いの立場や特性を理解し、尊重しあいながら、それぞれの役割と責任において、まちづくりに取り組むこと、言いかえると「協働のまちづくり」のことを言います。
ボランティア団体によるゴミ拾い活動、地域コミュニティ組織による高齢者・子どもの見守り活動、いろいろな人や団体が集まって企画するイベントや祭り、市による子育て支援サービスなどのNPO等への業務委託など、協働の主体や規模、形態はさまざまです。そして協働は特別なことではなく、誰もが知らず知らずのうちにやっていることなのです。
1人でできることは限られています。1人ではできないことを家族や友人、地域で協力してやっていく。そのためには、一緒になって取り組むネットワーク(=仲間)づくりが必要となります。
そこで、今回は、今年度から始まった新たな協働の取り組みや交流会の開催から、ネットワーク(=仲間)づくりとはどういうものかご紹介したいと思います。
平成26年2月8日(土曜日)の第3回ネットワーク交流会に参加してくださった皆さんです。
平成25年度に取り組まれた新たな「協働」の事例を、ネットワーク(=仲間)という視点から紹介します。
平成25年11月12日、久留米市社会福祉協議会の社会福祉教育協力校である大橋小学校で開催された「子どもたちと学ぶ認知症サポーター学習会」に4年生〜6年生の46人と教員10人、地域住民31人が参加しました。
地域と学校との協働で学習会に取り組んだ大橋小学校の筒井校長、袋野教頭、永松教務主任の3人に、開催の経緯についてインタビューしました。
今回、大橋小学校が地域の方と一緒に認知症サポーター学習会を開催したきっかけは何ですか?
筒井
久留米市社会福祉協議会から認知症についての学習会の話がありました。高齢化が社会問題になっているので、子どもたちだけではなく、地域住民の皆様と一緒になって認知症を学ぶことが重要ではないかと考えました。
そこで、大橋校区まちづくり委員会秋永会長やPTA益永会長、校区社会福祉協議会石原会長、地域学校協議会西村会長、校区青少年育成協議会石井会長、校区の民生委員に話をしたところ、「校区の住民も認知症について学ぶ良い機会だ」ということで合同開催となりました。
学習会の講師は久留米市長寿支援課の協力でキャラバン・メイトの皆さんにお願いしました。
参加者が80人以上集まりましたが、地域の皆さんへのお知らせはどんな風にされたのですか?
袋野
認知症サポーター学習会の案内を作成し、子どもたちが自宅へ持ち帰りました。
また、市の広報紙と一緒に、大橋校区の各家庭へ配布しました。そして、校区内の各団体のメンバーにも学習会への参加をお願いしました。
こうしたさまざまなネットワークによって、平日にもかかわらず、地域の多くの方々に参加していただくことができました。感謝しています。
お知らせだけで、たくさんの方が集まったのでしょうか?
永松
本校では、JA青年部大橋支部の協力でもちつき大会を30年続けており、学校と地域のつながりができているので、地域の方には「おらが学校」という意識があります。
また昨年は学校と地域との共催で初めて大橋ふれあい運動会を開催し、800人が参加しました。
この時は教員・PTA・体育委員会・自治委員・女性代表・消防団・交通安全協会大橋支部などが、2年がかりで準備をし、子どもたちがプログラムやポスターを作りました。この経験が学校・家庭・地域の連携に役立っていると思います。
今後は、どのようにされますか?
袋野
子どもたちが書いた認知症サポーター学習会の感想文を、大橋校区の各家庭に配りました。
来年度もこの学習会を、子どもたちと地域との合同で開催できたらと思っています。これからもさまざまな活動が、地域の皆様と一緒にできるようにしていきたいと思っています。
学校と各団体が合同で「認知症サポーター学習会」を開催したことは、さまざまな団体が同じ目的を持って協力した協働の取り組みと言えます。
大橋校区まちづくり委員会 秋永会長
大橋校区は高齢化率が33%で、5人に1人が75歳以上の高齢者です。私自身が、認知症への思いが強く、認知症に対する正しい知識と接し方が必要だと思っていました。今後も、小学校と一緒に地域住民も参加して、認知症について継続して学習していくことが重要だと思います。
キャラバン・メイト 中村陽子さん
子どもたちと地域住民の皆様が一緒になって、熱心に勉強していただきました。
また、子どもたちからの感想を聞いて、合同学習会に参加して良かったと思いました。
今回のような学校と地域と合同での「認知症サポーター学習会」が他の地域でも広がっていくと良いと思います。
平成25年11月17日、中心部商店街や東町公園周辺で、子どもたちが仕事体験ができるイベント「Dr.(ドクター)ブンブン」が開催されました。実行委員会のスタッフ30人、ボランティアスタッフ170人、来場者は5000人以上となりました。
イベントを開催するにあたって、いろいろな人と人とがつながり、新しいネットワークができていたので、実行委員長の音成龍司医師へ話を伺いました。
今回、子どもたちが仕事体験ができるイベントを始めたきっかけは何でしょうか?
音成
久留米は医療・商業・芸術が盛んな素敵な町です。私はそんな久留米に住む1人の大人・医師として、子どもたちの未来のために、これらを融合させた新しいイベントができないだろうかと考えていました。
そこで、子どもたちに本物の大人の仕事(文化と文明ブンブン)を伝え、体験・学習してもらうことを思いつきました。
たくさんの方が関わっていますが、どのような方法でネットワークをつくりましたか?
音成
日高滋紀医師の協力のもとに、現役医師が講師を務める「子ども医学部」の開催を呼びかけたところ、子どものためならと、たくさんの方が賛同してくれました。
市民や各団体などへ取り組みの輪を広げるため開催の約1年半前、くるめ水の祭典に長年携わっている今村好典さんに相談しました。
今村さんに多くの知り合い(協力者)を紹介してもらうなど、毎月の実行委員会のたびに知り合いが知り合いを紹介し、人の輪はねずみ算式に広がりました。久留米医師会、久留米青年会議所、一番街商店街、学生、ボランティアをはじめ多くの人と繋がりができました。その他、篠山校区まちづくり振興会、篠山小学校、久留米市立幼稚園協会、新聞社、TV局など多くの方々にも協力していただきました。
初めてのイベントでしたが、難しい問題がありましたか?
音成
初めてのことで、どのくらいの経費がかかるのか分かりませんでした。日ごとに人と人との繋がり・結びつきが強まり、当日のボランティアも無償で参加していただくなど、皆の力で何とか乗り越えられました。
今回のイベントは、人の輪、ネットワークの輪が大変うまく広がったケースだと思います。改めて、ネットワークをつくるコツについて聞かせてください。
音成
「未来を担う子どもたちの笑顔を見るため、ふるさと久留米のため」という熱い思いを説明して回り、多くの人と思いを共有できたことが一番だったと思います。思いは、いつしか知らない人へも広がっていくようです。
この思いが共有できたことで、子どもたちがふるさとへの愛着と誇りを持つことができる「真に豊かな社会の創造」へつながるのではないでしょうか。来年はもっと有意義なイベントにしたいと考えています。
今回のネットワークは、思いを共有した「人と人とのつながり」だったようです。
思いが200人の人を動かし、5000人の参加者を呼ぶことにつながりました。
特定非営利活動法人くるめ水の祭典ガマダス 今村好典さん
今までにない発想で久留米に住む子どもたちの未来のためにとの音成氏の熱い思いに惹かれました。
自分自身「くるめ水の祭典」で20年実務を経験しているのでお役に立てればと思い、副実行委員長として応援しました。
一番街商店街 大津会長
初めてのイベントでしたが「まちおこし」に関心があったので協力しました。「子ども医学部」教室を始め、子どもたちは食堂、お花屋さん、ペット美容、雑貨店など23のお店で仕事の大切さを経験しました。
子どもたちは仕事の大切さ、大変さを感じたのではないでしょうか。
久留米市内の地域コミュニティ組織、市民公益活動団体、学生、行政などが協働のまちづくりのきっかけとして、出会う・知り合う・寄り合う場となる交流会を行いました。
開催日 平成25年11月23日(土曜日)
会場 市民活動サポートセンターみんくる
参加者 89人
今回の交流会は普段知り合うことの少ない、さまざまな方が出会うことを目的に「学生が語る」というテーマで開催しました。
久留米工業大学の学生が活動する学生防犯ボランティア「輪導」、聖マリア学院大学の学生が活動するふぃりあ、久留米大学の学生が活動するWorcal(ワーカル)がそれぞれの活動を発表しました。その後、参加者の皆さんで「ボランティアとは何か」についてディスカッションし、活動のきっかけや意義、悩みなども共有することができました。
開催日 平成25年12月14日(土曜日)
会場 日吉校区コミュニティセンター
参加者 65人
ワークショップの中で、地域から「若い力」が求められているが、「若い力として力仕事や雑用などの協力ではなく、プロセスを共有して、共に運営に携わりたい」との意見が学生から出されました。これを受けて、若い力とどう取り組んでいくか、若者はどう考えているかについて意見交換を行い、「若い人と地域がつながるために何をすればよいか」を考えました。
最後に、ぜんざいとお漬物を食べながら、皆さんで大きなテーブルを囲んで交流しました。
開催日 平成26年2月8日(土曜日)
会場 市民活動サポートセンターみんくる
参加者 84人
今年度3回目となった交流会では、第2回の交流会で、活動力や発想力、好奇心などと表現された「若い力」と一緒にできることについて参加者の皆さんで考えました。
地域・NPO・ボランティア団体・学生などの皆さんが、若い力と一緒に取り組みたい企画として、ボランティア団体が集うフェスティバルや放課後の子どもの居場所づくり、校区でできるスポーツや中心市街地のマップづくりなど、8つの企画を提案しました。
参加者の皆さんは興味のある提案ごとに集まり、企画を具体的につくり上げました。
企画づくりを通じて、普段は語り合うことの少ないさまざまな立場や年代の方と意見交換ができ、若い力と新しい企画を考える良いきっかけとなりました。
ジョイナス41号についてのご意見は、次のお問い合わせ先までお寄せ下さい。
電話番号 0942-30-9064 FAX番号 0942-30-9711
平成26年3月15日発行
発行 久留米市協働推進部協働推進課(久留米市城南町15-3)
編集 特定非営利活動法人新現役の会ちくごセンター
ジョイナス第41号は下記よりダウンロードしていただけます。